キヨク・タダシキ香港的日本語教師ライフ之ススメ

貧乏暇ナシを地で行く自転車操業の毎日ですが、学生の何気ない一言にホロリとしたり、目から鱗がポロリと落ちたり、言い間違いや書き間違いに癒されつつ、充実した楽しい毎日を過ごしています。
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多言語対話型評価(旧OBCテスト、B-DRA)

今回の里帰りの目的は大阪で開催された多言語対話型評価法のワークショップに出席するためでした。
要は対話を通して会話力と読書力を評価するためのツールの使い方を学ぶワークショップです。
ちなみにこの評価法ですが以前はOBC、B-DRAと別々の名前で呼ばれていたものを、
現在は「多言語対話型評価」として、1セットにまとめたようです。
OBC=Oral Proficiency Assessment for Bilingual Children
B-DRA=Developmental Reading Assessment for Bilingual
簡単に言うとOPIの子どもバージョンのようなものです。

そしてOPIと全く異なるのは、この評価はバイリンガルの子ども、
特にマイノリティ言語を母語とする児童に対して行う評価で
一言語(教科言語)の能力だけを評価するのでなく、
二言語(教科言語・母語/継承語)の能力を測ろうとするものだという点でしょう。

またOPIと大きく異なる点がもう一つあります。
OPIは「導入・レベルチェック・突き上げ・終結」の流れで構成されており、
被験者の言語力を測るために、ある意味、被験者の自信がボロボロと崩れるまで
徹底した「突き上げ」を行いますが、
この評価では被験者を褒め、自信をつかせ、持つ力を存分に発揮させることを目的としているのです。

ワークショップに参加していて思ったのですが、
対話型読書力評価の手法はそのまま学校の授業にも応用可です。
・・・というか一部すでにやっていることだったりします。
日本語での会話に自信が持てない学習者に対して、
褒めながら、ヒントを与えながら、自分に自信を持たせるという授業のやり方をしている方は
少なくないと思います。
・・・ま、時間の関係上、何分も何分も根気強く長い間学習者からの回答を待つわけには行きませんが。

色々と目から鱗のワークショップで、中でも一番興味深かったのは
学校言語(教科言語)を伸ばすには家庭言語(母語・継承語)を伸ばすことが必要という件。
学校側としては早く他の児童と足並みをそろえるために教科で用いる言語を
家庭側も一日も早く現地に融合してもらいたいという思いから学校で使われている言語を
それぞれの思惑でバイリンガルである(はずの)子どもに習得を促す傾向にありますが
母語・継承語を疎かにすることで、学校言語の習得も伸び悩むというのは
初めて聞いた話で、非常に興味深いと思いました。

この母語が大切だという考え方ですが、
香港では数年前から「もっと母語に目を向けよう!」キャンペーン(笑 が始まっている。
元々イギリスの植民地だった香港には、英語ができてなんぼのもん!という考えが根強く残っており
いわゆる名門校では全て英語で授業が行われています。
そして名門校に入るためにありとあらゆる工夫をするので傍から見ていると非常に面白いのですが
ま、この話はいずれまた別ブログで取り扱うことにしましょうか。

それにしても香港でいきなり「母語(普通語)教育」や中文中学校の構想が出てきたのは
もしかしたら教育省の誰かがこのようなことを学んで来たからなのかもしれません。

それにしてもきちんとしたデータも出さずに推進したせいで
これは中国共産党への歩み寄りか!!??と勘ぐられ、
香港中の保護者から総スカンを食らう羽目になるのが香港の面白いところです。

話を戻しますが、トロント大学の名誉教授をされている中島和子先生を中心に、
現在も色々な先生方が協力して日本語・英語・中国語バージョンを開発中のこの評価。
いつかぜひ、香港にもたくさんいる日本語を継承語とする児童を相手に行ってみたいと思っています。

おみやげでもらった
「多文化共生の日本語教育 日本語教室でできる母語の保持と伸長」
の内容も大変興味深いもので、そのままこちらでも応用できそうでした。

「香港から参加した」というと驚かれましたが、非常に実のあるワークショップでした。
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日本語教育勉強会 教室外の社会とつながる

HKU SPACEで行われた勉強会に参加してきました。

初回はひらがな・カタカナの教え方、2回目は敬語、そして3回目の今回は教室外の社会とつながるがテーマ。
基本的に勉強の場にはできるだけ参加している私ですが、前2回は都合が悪く不参加だったのでした。
そして今回が初の参加となりました。

感想は・・・というと
まず、面白かった!
お話をしてくださったプリンストン大学の佐藤先生を始め、ネットを通して参加したマギル大学の米本先生や、マレーシアなどのお話が聞けてとても有意義でした。

そしてもうひとつ。
残念だった!
何が残念だったのかというと、講演後にグループディスカッションの時間を設けてくださっていたのですが、ディスカッション終了後に話し合った結果を発表したグループがなかったこと。

・・・皆さん、活発にお話をされていたようだったのにねぇ。
ま、ディスカッションの時間が10分しかなかったってのもあるのかもしれませんが。
それにしても教室外の社会とつながる前に、香港内でも日本語教師同士でつながっていかないとなーと改めて実感。

講演の最中もメモをとったり、PPTの内容を写真に収めたりと真剣に聞き入っている方々が多かったのに、せっかくの意見交換の場が活用されずに終わるのは本当に残念・・・というか、ある意味、運営してくださった方に対して失礼とも言えるのでは。
今回に限らず、研究会の月例会や講演会、勉強会やワークショップでもインプット方面にかけてはやる気満々なのに、アウトプットがないのは残念とか言いようがありません。
授業中には学生に「もっと話しなさい」とか「自分の考えを述べなさい」とか言っているのに、反対の立場になったら貝のように口をつぐんでしまうのはどうかなーと。
全く何も思いつかないのならともかく、個人的に話すと結構皆さん色々な考えを持っていらっしゃるようなのですが。

日本語教師という職につかれている方は真面目な方が多いのか、「間違ったことを言ってはいけない!」「こんなことを言ったら恥ずかしい!」みたいな意識が働く人が多いようなきがします。
他の国の状況はわからないけど、今日のツイッターで日向先生が「外山滋比古先生いわく教師は日頃話す一方で聴く訓練をしていないから聴衆としては面白くない、サラリーマンの集まりと変わらない、と。」「確かに、セミナーなどに集まる先生達は大半がメモ取りと内職に忙しく、質疑応答でも聞きかじった部分をネタに演説することが多く、講師と広い意味のコミュニケーションを行い、新たなものを得ようという意識が乏しい。」と言っていたことから考え合わせると、語学教師全体の傾向なのかもしれませぬ。

え?そういうお前は?・・・ですか。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の損」
大阪商人の血が脈々と流れる私が、聞かない・話さない・絡まないわけないじゃないですかぁ~。